自動車運転と睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群をはじめとした睡眠障害が関係すると推定される重大な交通事故の多発に対応して、道路交通法では、睡眠時無呼吸症候群患者の免許交付と運転に対して厳しい姿勢が打ち出されています。

睡眠時無呼吸症候群の患者が運転してはいけないのですか

はい、免許の不交付の要件には、重度の睡眠障害をきたす疾患が明記されています。

睡眠時無呼吸でも眠さがなければ免許は交付されますか

「眠気のない人に交付しない」と明記されてはいないので取得は可能と思われますが、万一、事故などを起こした際に、眠気がなかったあるいは居眠り運転はしていなかったことを証明できるでしょうか。

どの程度を強い眠さと呼ぶのですか

免許更新での質問は「過去5年以内に、十分睡眠時間を取とっているにもかかわらず、日中、活動している最中に眠り込こんでしまった回数が週3回以上となったことがある」です。この他に「受診に関する項目」の眠さテストも参考にして下さい。

睡眠時無呼吸の可能性があると感じた場合は、検査を受けない方が良いですね。

いいえ、自動車運転では自己責任が重視されるので、疑いがあるのに検査を受けずに放置すること自体が責任を果たしていないと解釈される場合があります。

治療を受けていれば、免許の交付は受けられるのですか

他の疾患についても、治療が適切に行われていれば、病気でない人と同列に扱われるので、免許取得は可能と思われます。

睡眠時無呼吸であることを隠して免許を取得すると、処罰されますか

はい、免許更新時の質問票に虚偽の回答をして免許を取得または更新した者は、1年以下の懲役また30万円以下の罰金刑と明記されています。

無治療で事故を起こした場合、睡眠時無呼吸でない人より不利になりますか

はい、2016年からは、持病や飲酒などが影響した死傷事故の罰則が、最高で懲役7年の「自動車運転過失致傷罪」ではなく、「危険運転致死傷罪」を適用しての懲役15年以下が適用できることになっています。

治療はCPAPでないといけませんか

はい、職業運転業務の場合は、確実な効果が得られるCPAP治療が推奨されています(無呼吸・低呼吸数が20回/時以上のみが健康保険適用)。

CPAP1か月に何日くらい、あるいは1日何時間くらい装着すればよいのですか

職業運転業務の場合は、1日4時間以上、1か月30日のうち21日以上の装着が推奨されています。

日数や時間を確認する方法があるのですか

はい、現在のCPAPの多くはメモリーを内蔵しており、記録が残ります。

CPAPを装着しないで寝た翌日に自動車事故を起こした場合は過失とされますか

現時点では、明確な回答はできませんが、ほぼ毎日装着している方がたまたま装着せずに寝た場合であれば、議論の余地があると思われます。