上部消化管穿孔について

「穿孔」とは穴が開くことを意味し、上部消化管穿孔は一般に胃と十二指腸に穴が開いた状態を指します。胃や十二指腸が穿孔すると、そこから腹腔内へ消化液が漏れ出し腹膜炎の状態となります。腹膜炎は激しい腹痛を伴う重篤な病態で、患者さんの多くは救急車で来院されます。発症からの時間が短く症状が軽微で患者さんのお身体の状態が安定している場合には、手術を回避できる場合もあります。だが多くは緊急手術となります。緊急手術でも、当院ではできるだけ胃を温存するようにしています。術後には内視鏡検査で穿孔の原因を調べることが重要です。胃や十二指腸が穿孔する原因の多くは潰瘍ですが、胃穿孔の一部には胃癌が原因となっていることがあります。潰瘍の場合は原因となりうるピロリ菌感染を調べ、ピロリ菌感染例では除菌治療を行っています。胃癌の場合はその進行度を調べ、速やかに胃癌治療へ移行しています。