どんな病気ですか?
睡眠中に呼吸が頻繁に止まる病気です。無呼吸のために熟睡できないことと、無呼吸中に低酸素(酸素欠乏状態)が繰り返し起こるための余病の発症などが問題となります。
体型と関係があると聞きましたが
はい。肥満の方に圧倒的に多い疾患です。
では、減量すれば改善しますか?
はい。皆がそうなると迄は言えませんが、8-10kgの減量は非常に有効です。
若い方には少ないように思いますが
20~70歳代の調査では、男性では年齢の増加とともに患者が増加し、女性では50代を境に急増しています。
睡眠中に突然死しますか?
いいえ。無呼吸が起きると苦しくて目が覚めるので、睡眠時の無呼吸のまま死亡することは、まずありません。ただし、低酸素は不整脈を誘発しやすいので、二次的な不整脈で突然死する可能性がないとは言い切れません。
早死にしますか?
はい。軽症ならば罹患していない人と生存率はあまり変わりませんが、重症なのに治療を行わなかった場合は10年後には3割くらいの方が亡くなっていたとの欧米の論文が複数あります。
人より早く認知症になりますか?
はい。無呼吸による頻繁な低酸素状態は認知症の原因になると考えられています。
高血圧の原因になりますか?
はい。治療をしてもなかなか改善しない高血圧の重要な原因の一つとされています。
居眠り運転の原因になりますか?
はい。睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、そうでない人よりも交通事故の発生率は数倍高いとされています。また、重症の人ほど交通事故の発生率は高くなります。
居眠り運転をする病態なのに運転免許が交付できるのですか?
いいえ。各警察のHPには、「重度の眠気の症状を呈する睡眠障害」のある人には運転免許を交付しないことが明記されています。
夜中にトイレが近くなりますか?
はい。だれでも日中の活動している時間には何回かトイレに行きますが、夜間はあまりトイレに行かないものです。睡眠が浅くなっている睡眠時無呼吸症候群の方は、夜間の排尿回数が多くなります。
慢性呼吸不全の悪化原因になりますか?
なります。特に、肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)に睡眠時無呼吸症候群が合併した状態はオーバーラップ(重複)症候群と呼ばれ、睡眠中には著しい酸素欠乏状態になります。
眼科で睡眠時無呼吸の検査を受けてくるように言われました。
睡眠時無呼吸症候群の方には緑内障が多いことが知られています。
喘息の主治医から検査を勧められました。
喘息の患者さんには睡眠時無呼吸が多く、睡眠時無呼吸のある喘息患者さんは発作を起こし易いとされています。
色々な型がありますか?
中枢型、閉塞型と混合型がありますが、成人睡眠時無呼吸症候群の大部分は閉塞型成分が主体の混合型です。
閉塞型睡眠時無呼吸とはどんなものですか?(中枢型は別に解説があります)
脳は呼吸の命令を出し続けているのに、患者さんの喉が一時的に詰って窒息状態を繰り返すものです。
閉塞型ではなぜ、喉が詰まるのですか?
簡単にいえば、仰向けで寝ると、睡眠中にリラックスした舌が、重みで喉の奥に落ち込んで塞いでしまうために一時的な窒息状態になります。苦しくなって眠りが浅くなると、舌の筋肉が再び緊張して落ち込みから回復するので、呼吸ができるようになります。
では、喉が元々狭い人は、睡眠時無呼吸症候群になりやすいのでしょうか?
その通りです。生まれついての喉や顎の形が閉塞型睡眠時無呼吸に大きく関係します。この他に、扁桃腺の肥大なども喉をせばめて無呼吸を悪化させます。
いびきをかく人だけが無呼吸になるのですか?
はい。閉塞型無呼吸症候群については、ほぼそのとおりですが、いびきをかかない人の閉塞型睡眠時無呼吸もまれではありません。
横向きで寝れば舌が喉への落ち込みにくくなると思います。これで無呼吸はよくなりますか?
横向きやうつ伏せ寝で無呼吸はある程度改善しますが、個人差が大きいので確実な方法ではありません。
いびきが横向き寝で消える方は、横向きで無呼吸も改善する可能性が高いので、抱き枕や背枕を試してみるのも良いでしょう。しかし、確実なのは検査で改善を確認することです。