CPAP治療について

CPAP治療(持続陽圧呼吸療法、シーパップ)と言います。睡眠中に鼻マスクからコップに満たした水の圧力程度(5~15cm)の気圧を喉にかけ続けます。この圧で、舌の落ち込みを下から軽く支えるので効果は確実です。
最初は不快感を訴える方もいますが、爽快な朝は何年ぶりの経験かと感激する方もいます。
睡眠時無呼吸を根本から治す治療ではない(対症療法)ので、中止すれば間もなく元の状態に戻ってしまうので、毎日つけ続ける必要があります。
寝返りもできます。
できれば旅行などにも持参してください。

重症の睡眠時無呼吸症候群には健康保険診療が認められます。

健康保険で治療を行うためには、原則として毎月1回受診する必要があります。

一泊入院ではCPAPの調整はできないことになりますね?

患者さんの状態に合わせた圧を装置内のマイコンが自動的に決定するオート(自動)CPAPという治療装置を用いて治療します。この場合に、睡眠時の無呼吸状態の減少の有無は装置に内蔵したメモリーによって推定ができますが、睡眠状態は測定していませんので、睡眠の改善は患者さんの自覚症状から推測することになります。

循環器科にかかっている方でCPAP治療をしている人のことを耳にするのですが。

睡眠時無呼吸症候群は治療困難な高血圧の原因の一つです。
睡眠時無呼吸症候群と心不全(心臓の力が弱っている)が合併した人の中に、CPAPが非常に有効な患者さんが多く存在することがわかってきました。このために循環器科でもCPAPを使用するケースが増えてきました。

CPAP治療は本当に効果がありますか?

装着がうっとうしいと述べる方もいますが、概ね好評です。夜中に飛び起きなくなった、昼間すっきりして粘れるようになった、朝方の頭痛がとれた、運転の不安がなくなった、家庭内別居が解消された、夜間のトイレがなくなった、などの感想が多く聞かれますが、子供が増えたという意味深長な話も聞きます。

治療で眠さが取れるという約束をして欲しいのです。

図はCPAP治療のために通院している方々のうちで、治療前と治療中の眠さ指数の比較に同意して下さった54名の調査結果です。ほとんどの人で眠さが改善(指数が下がる)しています。

効果が実感できないなどの理由で治療を中断してしまった人達(少数ですが)は調査対象から外れてしまうので、すべての人の眠さが改善できるとまでのお約束はできません。

もう一度図を見なおすと、眠さの改善が乏しくとも、心筋梗塞や脳梗塞予防のためにCPAPを続けている方々もいることが分かります。

図の人達の無呼吸そのものは良くなっていたのですか?

はい。CPAP内蔵のメモリーを解析し、殆どの方で無呼吸が1時間5回以内(正常範囲)になっていることを確認しています。

CPAPはやめたら元通りになってしまうのですね?

はい、しかし高血圧や糖尿病、気管支喘息など他の多くの病気も、やはり、治療をやめれば元に戻ってしまう点は同じ事です。

CPAPの写真を見ましたが、絶対につけられないと思います。マウスピースを希望してはいけませんか。

重症の睡眠時無呼吸の標準治療はCPAPですが、ご自分で毎夜装着する装置なので、ご本人が納得しなければ治療の継続はできません。ポジティブ思考をお願いしたいところですが、是非にというかたにはマウスピース対応もします。マウスピースの効果が乏しかった場合は、ぜひ前向きにCPAPに挑戦して下さい。

他の病気でかかりつけの医院がありますが、無呼吸の診療はしてくれません

睡眠時無呼吸の診療を行う医院はまだ多くありません。もし、かかりつけの先生の許可が得られれば、睡眠時無呼吸を診断して、CPAPが上手に使えるまで当院に通院し、その後はかかりつけの先生にお願いすることは可能です。かかりつけの先生にご相談の上で、睡眠時無呼吸の外来に予約し、紹介状をお持ち下さい。

無呼吸が辛くて悩んでいますが、毎月の受診に仕事を休むことは無理です。

最近は平塚、大磯、二宮、小田原で、CPAP治療をして下さる開業の先生はかなり多くおいでです。かかりつけ医として、それらの先生方へのご紹介を積極的に行っています。

父は毎夜無呼吸があり、治療を希望しているのですが車椅子生活なので、毎月家族が通院に付き添うのは無理です。

車椅子の原因が脳梗塞ならば、再発予防に治療をする意義は大きいと思います。

お勤めではないようなので土曜受診などの配慮は難しいのですが、CPAP治療が適切にできた(効果や毎夜の装着ができていること)時点で、お近くの医院に通院を依頼することや。隔月受診の適用などを考慮することは可能です。

CPAP治療を近くの医院で受けていますが、専門外なので細かい説明をして貰えません

他診療機関で通院中の方の相談はセカンドオピニオンと考えれば自費診療となりますが、その先生からの依頼であれば、一般診療としての相談は可能です。

当院対応のCPAP機種であれは、詳しい説明も可能なので、機種メーカーを確認しておいで下さい。

他の病院でマウスピースを作り、使っていますが、本当に効果があるのか不安です。

効果のおおよその判定ならば、外来の簡易検査でも良いと思います。受診+装置の貸出、翌朝の返却(返却の時間は僅かです)、後日の結果説明(返却の翌日以降の受診)、のために、合計3日間の時間を考えて受診して下さい。

CPAP治療中の方